伊豆諸島の鳥島東の洋上で海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した事故を受け、海自トップの酒井良海上幕僚長は21日に記者会見を開き、「国民の皆様に大変なご心配をおかけし、心からおわび申し上げる」と陳謝した。
「事故発生当初より懸命な捜索救命活動を行ってきたが無念でならない」。午後1時に始まった会見の冒頭、この時点で乗員1人の死亡が確認されていたことに触れ、酒井氏は沈痛な面持ちでそう述べた。2機には計8人が搭乗しており、残り7人についても「全力を挙げて捜索にあたっている」と強調した。
2021年7月にあった鹿児島・奄美大島東の洋上での海自ヘリ2機の接触事故など、自衛隊機を巡る事故が後を絶たないことについては、この日の会見でも報道陣から質問が出た。これに対し、酒井氏は「基本的には過去の事故の教訓から導かれる安全対策をしっかり取っていれば事故は起こらないだろうと思っている」と説明した。
その上で21年の事故を受けた再発防止策に言及し、今回の事故についても「これをしっかり守っていれば衝突は起こらないだろう」とした。しかし事故当時、2機が接近していたとのデータが確認されているとして「どういうふうに高度セパレーション(間隔)や距離(の確保)、見張りをしていたのかは、原因究明の大きな課題だ」と述べた。
事故は自衛隊や防衛省内部に衝撃を与えた。ある自衛隊関係者は「2機が墜落と聞き、非常に驚いた」と話し、防衛省幹部は21日朝、「午後は天候が崩れるようなので午前の捜索が勝負。なんとか(乗員が)見つかってくれたら」と祈るように話した。【木原真希】