3連休初日の14日、北海道恵庭市の道央自動車道で大型バスが突然炎上。
燃えさかるバス…その時何が起きていたのか?Mr.サンデーは、バスの乗客を独自取材。緊迫の一部始終が明らかになった。
新千歳空港に向かう連絡バスが突然炎上
14日午後4時半頃、札幌から新千歳空港に向かう空港連絡バスが突然炎上した事故。
単身赴任先の三重県から、北海道に帰省中だったという40代男性が当時の状況を語った。
バスの乗客(40代):
午前中子どもの授業参観があって家に帰ってきて、そろそろ空港に向かおうかなと思ってバスに乗って、新千歳空港に向かっていったところですね。
2席に1人座っても十分な人数だったので皆さん通路側に荷物置いて窓側に人が座ってっていうような感じで座られてましたね。
男性は一番後ろの座席に座ったという。
バスの乗客(40代):
女性1人の方もいましたし、家族連れ、50~60代の4人の団体、多分サラリーマンの人とかいらっしゃいましたね。(私は)いつもなんですけど、映画を見たりして、新千歳空港までは向かってますね。
バスには、運転手1人と12人の乗客。車内はいつも通りの雰囲気だったというが、午後5時頃に異変を感じる。
バスの乗客(40代):
必ず通るパーキングエリアがあるんですけどその手前ぐらいから何かちょっと違和感というか…。
乗車して約30分後、ある違和感に気づいた男性は妻にメッセージを送った。
バスの乗客(40代):
ガタガタ音がするんで「バスの調子が悪いみたい」「えっ大丈夫?」みたいな感じのメールでしたね。
普段感じることはない、ガタガタという振動を感じた。
バスの乗客(40代):
高速道路なんですけど、バスが路肩に止まった。「あれ?おかしいな」と思ったんですけど、運転手が「ちょっと点検しますので」って、外に出たんです。
停車後、男性はあることに気づく。
バスの乗客(40代):
止まった時点で明らかにバスの側面から煙が見えて、何か異常が起こっているなとは感じました。後ろを見ると後ろの窓の方からも煙が見えて。やっぱり高速道路上なので、道路に出ることはよくないことじゃないですか。むやみにバスから出るのもよくないのかなと思っていたんですけど、私の足下から、床から煙が出てきたんです。今まで見たことのない大きさの炎でした。火が見えると急に恐怖というか…。
バスの窓にオイルのような黒い液体が…
さらに男性はこう振り返る。
バスの乗客(40代):
窓の方にエンジンオイルのミストっていうんですかね、そういったものが付いているのが、ちょっと確認できまして。
男性が撮影したという写真を見ると、確かに、窓にオイルのような黒い液体が付着している。
“足元の煙”と“窓のオイル”に身の危険を感じた男性。
バスの乗客(40代):
前方に男性が1人いて、「煙出ているんで逃げましょう」っていう話で、それで皆さん立ち上がって、逃げ出しているので。1人私の近くに女性の方がいて、その方がなかなか立たなかったものですから「もう煙出ているんで外に出ましょう」って感じで、声掛けて出たっていうような感じです。
男性は、緊迫する避難の様子を撮影した。その映像には、バスが炎に包まれるまでの一部始終が捉えられていた。
映像には運転手は消火器を持ちバス後方へ向かい消火作業を行う様子が映っている。一方、脱出後、すぐにトランクから荷物を出す乗客たちの姿もあった。
バスの乗客(40代):
バスの下に荷物を預けている方がいらっしゃいましたので、そういう方は自分たちでそのドアを開けて荷物を出していらっしゃいましたね。
運転手が消火作業を続ける中、煙はバスの後部から勢いを増している。
バスの乗客(40代):
全然間に合っていなかったですね。もう火の方が大きいっていう感じですね。
自力での消火を断念したのか、電話をする運転手の姿があった。
数分後、煙は前方にも広がり、バスの下には、赤い炎が見える。
運転手:
すみません!(下がっての合図)
運転手:
荷物出してもらいましたね。
その直後、炎上するバスから「ボン」と1回目の爆発音が聞こえた。
撮影者:
おお…。
さらに2回目の爆発音も聞こえ、煙がどんどん増していく様子が分かる。
電話の相手が出ないのか、電話をかけ直す運転手。そして、バスが煙に包まれる中、運転手が車内に戻る。
乗客:
いやいやいや
忘れ物をしたのだろうか、バッグを手に戻ってきた。それとほぼ同時に、煙がバスを覆い尽くす。そして、停車から約10分が経過して大きな炎がバスを包み込んだ、
乗客:
すごいですね…
運転手:
なんでなんだか…いきなりですよね。
気体が漏れているような「シュッー」といった音も…
午後5時過ぎ、炎上しているバスとは反対の車線から撮影された現場映像には、炎に完全に飲み込まれたバスとともに「ちょっと待って、見て。バスでしょ、バスだバス」という音声が入っていた。
映像の撮影者:
「400m、500m前とかですかね。そこでもう黒煙がずっと空高く上がっているのが見えたので、もう本当にバスを覆いつくすようなレベルで燃え盛っていて、後ろの方の多分燃料とかが燃えていて、それでどんどん徐々にバスの前の方も、燃えるのが移っていくような状態。
別の映像内の音声をよく聞くと、何か気体が漏れているような「シュッー」といった音が聞こえる。
乗客:
うわうわうわ…
運転手:
どうしようもないな。下がったほうがいいかもしれないですね。
約100m離れた場所まで避難した乗客たち。停車してから約20分でバスは炎に包まれた。
数分後には警察や消防が到着して消火作業が開始された。
鎮火後のバスは枠組みだけが残された状態で炎の激しさを物語っていた。
12人の乗客は、高速道路下のトンネルに誘導され待機を余儀なくされたという。
バスの乗客(40代):
避難中はやっぱり北海道ということもありまして、ちょっと肌寒かったんですよね。それでだんだん日も暮れてきて、小雨もちょっと降ってきたので、さすがにちょっと半袖だと寒いかなと。
約2時間後、乗客たちは代替バスに乗り無事、新千歳空港に到着したという。
バスの乗客(40代):
一歩間違えれば命に関わるようなところもありましたので、怖い部分もありましたけど、「冷静にしているのが一番だ」とすごく思いました。
今回の乗客は悲鳴とかも上げることなく、冷静にされている方が多かった。そんなにパニックになることもなく、皆さん避難できたのでそれが一番だと思いました。
なぜバスは突然炎上したのか。
専門家はエンジンから漏れた燃料に着火した可能性を指摘
バスが突然炎上した理由について交通事故鑑定人の中島博史氏は、「恐らくエンジンから漏れた燃料が燃え上がっている。その上に車体底面があるような状態だったのだと思います。車体左側の方にビシャッと燃料が出ないとは限らない。状況としては『怖い・危険だ』という感じはしました」と話した。
事故後、取材に応じたバスの運行会社は、「整備点検は『45日点検』というものと『3カ月点検』、1年に1回やる『車検』と3つがございます。ほとんど毎月のように点検をしている状況ではあります」とコメント。
定期点検では異常がなかったとする一方、事故後の対応については、「映像を見た限り、ドライバーがバスの中にあるものを取りに行っているように見えるんですけども、お客さま同様ドライバー自身も安全を第一にした行動がこういう場合は求められますので、当社のドライバー全体にも改めて指導したいという思っております」とした。
交通事故鑑定人の中島氏は、「今回は乗客が荷物を確保して退避する余裕がありましたけれども、“ラッキーだった”と考えた方がいいと思います」と指摘した。
3連休の高速道路で起きたまさかの炎上事故。乗員1人乗客12人の計13人にケガはなかった。詳しい出火原因は分かっておらず、警察などが当時の状況を調べている。